アメリカで中絶処置を受けました。
その時の経緯や心境については、いつか気持ちの整理がついたら公開で来たらなと思っています。
今回は中絶手術ではなく、経口中絶薬を使って中絶処置をしました。
実際に処置を受けるまで、
どれくらい出血するの?
薬を飲んだ後、副作用はある?
薬で中絶するのは安全?
どこでできるの?
費用は?
などわからないことばかり。
インターネットでの検索も随分時間をかけて行いましたが、ほとんど情報がありませんでした。
今回は体験談として、薬を使って中絶した場合の経過や体調面の変化を残したいと思います。
薬による中絶は安全?
日本では、安易な使用は大量出血などのリスクがあるため認可されていませんが、経口中絶薬は、WHOが「女性の体と心への負担がより少ない」として、推奨している方法です。
2種類の錠剤を口から服用し、人工的に流産をおこします。
60以上の国と地域で採用されている中絶方法で、妊娠初期(12週)までであれば、98%の確率で効果があることが証明されてされています。
医療機関できちんと管理された状態での死亡率を比較すると、
100,000人に1人未満:薬剤で中絶した場合
100,000人に1人:ペニシリンによるアナフィラキシーショックのリスク
100,000人に4人:バイアグラを含む勃起不全症治療薬
15,000人に1人:出産が安全にできる国で女性が出産中に死亡する確率
となっており、特別に危険な治療ではないようです。
合併症のリスクは自然流産と同等とされていますが、大量出血や子宮内に残留物が残り医師による追加の処置(薬や手術)が必要な場合があります。
妊娠何週間まで使用できる?
WHOによると、妊娠12週までは薬による中絶は自宅で安全かつ効果的に自己管理することができる、とされていますが、週数が経てば経つほど、確実に中絶できる可能性が低くなり、副作用が強く出たり、出血が多かったりするようです。
今回通院した病院では10週までであれば中絶薬を使うことができました。
また、10週未満であっても手術を選ぶこともできました。
5−10週:薬によって処置可能、7週以下であれば94−98%の確率で中絶できる。
5−14週:吸引手術による処置
14週以降:吸引手術による処置
どんな薬を飲むの?
1,ミフェプリストン:妊娠継続に必要なホルモンの分泌を抑える薬
2,ミソプロストール:子宮を収縮される作用を持つ薬
という2種類の錠剤を組み合わせて服用することで、人工的に流産を起こさせるものです。
薬の副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、寒気、発熱、めまいなどがあります。
鎮痛剤や吐き気どめを処方される場合があります。
中絶処置中にしてはいけないことは?
病院で言われたのは、
・出血している間はナプキンを使う。タンポンや月経カップなど体の中に入れる生理用品は使用しない。
・生理よりも多めの出血となることが予想されるので、大きめのナプキンを使う。
・入浴(湯船に浸かる)、重いものを持ち上げる、高負荷の筋トレや激しい運動はしない。
・性行はしない。
などです。
実際の処置はどう行われる?
中絶処置1日目
通院し、問診票記入、血圧、体重、尿検査、血液検査、超音波を行う→妊娠しているか、子宮外妊娠ではないか確認します。
通院の目的を再確認し、使用する薬の説明と飲むタイミング、どのような場合にすぐ病院に行かなければいけないのか説明を受けます。
説明後、すぐに1種類目の薬(ミフェプリストン)を飲み、処方箋(痛み止め、吐き気どめ)、抗生物質、2つ目の薬をもらいます。
お金を払い、1週間後のチェックアップの予約を取り帰宅します。
中絶することについて諭されたり止めるように言われることはなく、むしろ決心が鈍らないうちに早く処置をしましょうという感じでした。
検査なども含め、1時間30分ほど病院にいました。
帰宅時に薬局へより、処方箋の薬を受け取ります。
中絶処置2日目
起床後は食欲はありませんでしたが、つわりのような症状は無くなっており昨日よりだいぶ楽になっていました。
1種類目の薬を服用してから18時間後、つまり、2つ目の薬を飲む前に、生理の始まりのようなごく少量の出血がありました。
出血前後からめまいがひどく立っているのは辛いので、ほとんど座って過ごしました。
1種類目の薬を服用してから24時間後に抗生物質と鎮痛剤、吐き気どめ、2種類目の薬(ミソプロストール)を服用します。
2種類目の薬を服用し1時間くらいしてから、下腹部が痛いような痛くないような。
また、寒気がひどく、冬用パジャマ+毛布3枚+掛け布団+暖房強めでも寒かったです。
2種類目の薬服用し、3時間経った頃、ドバーッと何かが出た気がしました。
すぐにトイレへ行くと、多めの鮮血でした。
塊等は特になく本当に出血のみでした。
その後、お腹が痛くなり何度かトイレへ行くも、下痢と一緒に血がどばー出る感じでした。
中絶処置3日目
いつの間にか眠っており、吐き気、下痢、お腹の痛みなく最近で一番調子いい朝を迎えました。
塊は昨晩からほとんど出ず、出血も2日目よりも少なく、3日目より多い感じ。
突然出血する可能性があるため、夜用のナプキンをつけていましたが、3−4時間で1/3-2/3程度の汚れでした。
2種類目の薬を服用後6時間以内に、生理の多い日よりもさらに多い出血とともに塊(胎嚢)が排出されることが多いようで、私の場合は出血も思ったほど多くなく、塊もほとんど出なかったため、正確に処置できているのか不安でした。
今までちゃんと食事を取れなかったせいか、一日中なにかを食べており、また、体はダメージを受けているのか一日中だるく眠かったため、食べては眠りを繰り返していました。
中絶処置4日目
吐き気、下痢、めまいあり。
出血は生理3-4日目くらいで少しずつ減ってきている気がしました。
鮮血とおりものが混じった、粘り気のある経血中心に出血がありました。
中絶処置5日目、6日目も4日目と同じような状態が続きます。
中絶7日目
昼ごろ今までで一番大きいレバー状の塊(縦5センチ、横3センチ、厚さ1センチくらい)が出ました。
おそらく胎嚢が排出されたのだと思います。
不安になり、検索すると人によっては2種類目の薬を服用してから排出までに時間がかかる人がいるようです。
中絶処置8日目
時折どばーと出血することはあるものの、量的には減ってきたような気がします。
塊も出ますが、7日目よりも小さめです。
この日、1週間後のチェックアップがあり問診とエコーを行なったところ、子宮内は残留物なく、全て排出されてきれいな状態とのこと。
出血は今後2週間くらい続くもとのことでした。
どうやらうまく処置できていたようで、追加の処置も必要ありませんでした。
中絶処置10日目
出血が止まり、全て終わったような、、、
体調は多めに出血しているため、めまいや眠気を感じることがありましたが、痛みや吐き気もなく好調でした。
中絶処置13日目
3日前に止まった出血がまた始まりました。生理3日目くらいの量で鮮血、下腹部痛がありました。
チェックアップ時に今後2週間くらいは出血が続くかもと聞いていたので、あまり心配はしませんでしたが、これ以上増えるorこの状態が3日以上続く場合は病院に行かなければと思っていました。
中絶処置14日目、15日目
生理2日目くらいの出血で塊はありませんでした。
下腹部痛がありました。
中絶処置16日目
朝起きると急激に出血が減っており、生理終わりかけのような状態になりました。
中絶処置17日目
完全に出血が止まる。
チェックアップで子宮残留物はなかったはずなのに、なぜ一度とまった出血が再度始まったのかはよくわからないままでしたが、その後出血があったり体調が悪い事もありません。
先生曰く、生理も4−6週間後に再開する人が多いとのことでした。
中絶から5週間後
生理が再開する。
出血量や生理痛、生理の長さなど中絶前と変わらず。
元々30ー35日前後が生理周期でした。
計算してみると、1種類目の経口中絶薬を飲んだ日(中絶処置1日目)から数えて32日周期で来ていたので、周期も変化なしでした。
病院はどうやって探す?
まずはかかりつけの産婦人科に確認しましたが、中絶処置はやっていないとのことでした。
その後、保険会社に電話し、保険の使える病院をリストで送ってもらいましたが、リストが開けず。
さらにページ数が膨大(13ページくらいあった)で探すの断念。
最後にインターネットで「abortion 地域名」でいくつか候補を挙げ、今入っている保険が使え、さらに料金とその内容がしっかり記載されているところを選びました。
ちなみに今回はFPA Woman’s Healthでお願いしました。
選んだ決め手は、
・料金とその内訳がHP上にきちんと記載されていた
・予約が取りやすかった(インターネット経由で予約でき、即日予約もできそうでした)
・yelpで評判が良かった
からです。
他にももっと安くて対応の良い病院はあったかもしれませんが、タイムリミットあり、さらに体調も悪かったため、探す限界でした。
費用はいくら?保険は使える?
検査代、薬代、フォローアップ検診代も込みで保険なしで700ドルでした。
今回処置が完了しなかった場合は、手術になる予定でしたが、その手術代も追加でチャージされることはないそうです。
保険が使えるかは、加入している保険会社のプランによって変わるので、保険会社や病院にご確認ください。
海外旅行者保険は妊娠・出産にかかわることは基本カバーされないとのこと。加入している保険会社にご確認ください。
実際に中絶薬を使って感じたメリット、デメリットは?メリット
機密性が高い
中絶手術をする場合は全身麻酔のため、パートナーなど(何かあった時に判断ができる人)がつきそう必要がありましたが、経口中絶薬を使用する場合は、入院の必要がなく通院に誰かつきそう必要はなかったため、自分から言わなければ、他人からは全くわからないと思います。
予定をコントロールしやすい
いつ開始するのかを自分で決めることができるので、その前後の予定をコントロールしやすいです。
通院回数が少ない
今回は2回病院に通院しました。
1度目に検査と最初の薬を飲み、2回目にチェックアップでした。
手術となった場合、おそらく3回(検査、手術、チェックアップ)は通院の必要があるため、少ない回数で通院を終わりにできるのは助かりました。
手術よりも安い
手術はHP上の記載では750ドルとのことでした。
今回支払ったのは700°ドルだったため手術よりも安かったです。
デメリット
本当に中絶できているのかわからない
薬を飲んでからの経緯は、人によって全く違います。
出血が多い/少ない、出血する期間が長い/短い、副作用がある/ないなど、人によって全く違うので、今の自分に出ている症状が危険(すぐに病院に行くべき重篤な症状)なのか、危険じゃない(副作用の範疇)のか素人には判断できませんでした。
また、本当に中絶できており、胎嚢等の残留物が子宮内に残っていないかは、処置後のチェックアップに行って見なければわからず、チェックアップが終わるまでは不安でした。
中絶薬を使う場合は、
・何かあった時のために、すぐにEmergencyに行ける状態にしておく
・異変があった場合、夜間や休日も含めすぐに病院と連絡が取れるよう緊急連絡先を控えておく
ことが必要だと感じました。
中絶処置を自己判断で辞めてしまう場合ある
自己判断で薬物による中絶をやめてしまい、危険な状態になる可能性がある。
例えば、
・2種類の薬を飲まなければいけないところ、1つ目の薬を飲んだ後、中絶したくなくなりor怖くなってしまい、2つ目の薬を自己判断で飲まなかった。
・1つ目の薬を飲んだ後、指定の時間内に2つ目の薬を飲み忘れた、または飲むことができなかった。
など、自宅ででき個人に委ねるところが大きい分、自己管理が求められると感じました。
薬の飲み忘れや自己判断で薬を飲むのを辞めてしまうと、子宮内の残留物がうまく排出されず大量出血を起こす、中絶が完了せず妊娠が継続してしまい追加の処置(薬、手術)が必要になる、など起きる可能性があるようです。
参考にしたHP
Medical management of abortion / WHO
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/278968/9789241550406-eng.pdf?ua=1
Woman on Waves
https://www.womenonwaves.org/ja/
FPA Woman’s health
https://www.fpawomenshealth.com